⻭科医院様へ

  • 訪問⻭科の現状

    高齢化社会が深刻になっている日本において、要介護認定を受けている高齢者の数は年々増え続けています。要介護認定の高齢者の中には口腔ケアが必要な方が多くいるのにも関わらず、ほとんどの方が必要なケアを受けることが出来ていません。高齢者は唾液分泌量の低下などから、むし歯や歯周病のリスクが高く、そのために多くの方が歯を失っています。歯を失うということは、食欲の低下や栄養不足を招き、食べるという楽しみが無くなることからクオリティオブライフ(生活の質)の低下までも引き起こす深刻な状況です。高齢者が必要な治療を受けられない理由として挙げられるものが、通院の困難と訪問歯科診療所が圧倒的に不足している点です。厚生労働省の調べによると、要介護者のうち70%以上は歯科治療が必要であるのに対し、実際に治療を受けられている方は25%ほど。そんな状況の中でも、自宅への訪問歯科診療を行う歯科医院は減少傾向にあります。最近では診療報酬の改定により歯科訪問診療料の増点、歯科訪問診療補助加算の新設など訪問歯科に対する環境が改善されつつあります。高齢化社会の今こそ、多くの歯科医院が訪問歯科に取り組むことが望まれているのではないでしょうか。

  • 治療報酬について

    訪問診療を考えている方にとって、訪問歯科を始めて採算がとれるのか…ということは大きな心配ごとの1つです。特に院長お1人で診療されている医院にとっては、外来診療が制限されてしまうこと、訪問診療を始めるにあたっての出費など不安は少なくありません。
    しかし、訪問歯科を始めるにあたり揃える必要があるものは、基本的に訪問する際に必要な「車」と「ポータブルの診療機器」だけで、あとは医院で使用している道具で事足ります。車は自家用のもので問題ありません。ポータブルの診療機器もローンで購入することができ、医院のユニットが故障した時にも使えるため1台は持っていると安心です。最近では訪問歯科に対する診療報酬の改定が行われ、訪問歯科診療料の評価点数の引き上げや、新しく在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料が追加されるなど、報酬の面でも向上されています。さらに訪問歯科では医療保険の他に介護保険による保険点数が算定されるため、訪問では外来でみる患者一人当たり3倍ほど報酬が高くなると言われています。もちろん患者様の状況や場所によって変わってきますが、訪問診療の体制を上手く整えれば外来よりも多くの報酬が見込めます。

  • 訪問歯科を始めるにあたり

    訪問歯科診療をスムーズに始めるにあたり、まずは手続きについて知っておく必要があります。基本的に「保険医療施設」の届出をされている歯科医院であれば、訪問診療を行うための特別な届出は必要ありません。しかし、訪問歯科として保険請求をするためには以下の届出が必要になります。

    1.生活保護法及び中国残留邦人等支援法指定医療機関指定申請書
    2.生活保護法及び中国残留邦人等支援法指定介護機関指定申請書
    3.在宅療養支援歯科診療所の施設基準に係る届出
    4.歯科訪問診療料の地域医療連携体制加算の施設基準に係る届出
    5.(在宅患者様)歯科治療総合医療管理料の施設基準に係る届出

    3~4の届け出については必須ではありませんが、診療報酬に関連する加算を算定できます。以上の届け出がなされており、訪問診療に必要な機器が揃っていれば、すぐにでも訪問診療を始めることが出来ます。訪問診療を始めるにあたり、まずは馴染みのある外来で治療をしていた高齢の患者様にアプローチしてみるのがいいでしょう。訪問診療を始めた旨を、電話やはがきで本人や家族に伝えると今までの信頼関係もあることから気軽に訪問診療を依頼してくれる傾向にあります

  • 院内体制を構築するためには

    外来の歯科医院を経営している方は、訪問診療を始めるにあたり院内体制を整える必要があります。特に院長お1人で診療している歯科医院なら、訪問診療をしている間は外来を休診にしなくてはなりません。外来の患者様に影響がでないようにするためにも、患者様に会社員の方が多い医院なら、夕方から夜の時間帯は外来を優先、比較的余裕のある朝から昼間を訪問歯科にあてるなど、外来の患者層や忙しい時間帯を考えて対処していくことをおすすめします。また、院長1人の医院の場合は昼の休診時間や平日の休診日を訪問にあてている方も多いです。診療所を休診する場合は、しっかりと患者様にわかるよう診療所の入り口にメッセージを残したり、留守電にメッセージを入れる事も重要です。訪問診療を行っているというアピールにもなり、訪問診療の新しい患者様の獲得や医院に対する信頼感にも繋がっていきます。また、訪問診療中にも外来の診療を行う場合には、他の医師やスタッフと事前に何かあった時の対応の仕方などを話し合っておくことも重要です。院長一人で訪問診療を始めるのではなく、院内全体でサポートできるように訪問歯科に対する知識を共有し体制を整えましょう。

  • スタッフ増員・教育のポイントとは

    訪問歯科診療が始まり、患者様を多く受け持つようになると口腔ケアや治療のアシストの面でも歯科衛生士が必要だと感じることが増えてきます。しかし、訪問歯科を希望する歯科衛生士が少ないことや、訪問歯科に対する知識が豊富な衛生士が少ないことなど、まだまだ訪問歯科というフィールドで働く衛生士は不足しています。そんな状況でのスタッフの増員はなかなか難しいところです。訪問診療は不便な点も多くあるため、新人よりも仕事に慣れているベテラン衛生士は機転がきき、大きな助けになってくれます。まずはパートタイムで経験のある衛生士を採用したり、現在働いている衛生士に認定訪問歯科衛生士になるためのサポートをしてみてはいかがでしょうか?または、外来で働いているベテランの衛生士を訪問に同行させてみることにより、やりがいを感じ自身のキャリアアップとして訪問歯科を専門にする衛生士も多くいます。時間やお金は多少かかりますが、その分見返りは大きいです。また、治療だけでなく後片付けや、カルテ処理などの仕事もありますので外来で働く歯科助手や受付など他のスタッフにも訪問歯科の知識を共有し、全員でサポートできるようにしていきましょう。

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